東電から総額約4300万円詐欺!

NGY201103150003

東京電力福島第一原発事故に伴う損害賠償制度を悪用し、東電から総額約4300万円をだまし取った疑いで会津若松市などの男女7人が逮捕された。この種の犯罪は被災者支援や支援制度そのものに悪影響を及ぼす。県警は事件の全容解明を速やかに進め、徹底した取り締まりで再発防止を図るべきだ。

 

賠償制度を悪用した詐欺事件の摘発は今回が初めてだ。ただ、2月には避難者向け借り上げ住宅制度を使って新潟市内のマンションを無償で借り、無店舗型性風俗店の従業員の待機場所にしていたとして、福島市の男ら3人が詐欺容疑で逮捕されている。いずれも膨大な申請があり、審査が甘くなる点につけ込んだ犯行とみられる。

 

こうした犯罪で最も影響を受けるのは本来の支援対象である被災者だ。犯罪を誘発している一因として東電や行政機関の審査の甘さが指摘されており、当然、厳格にせざるを得なくなる。これまで以上に手間と暇がかかれば、支援を受けるまでに相当の時間を要する。東日本大震災と原発事故から2年半が過ぎても、厳しい生活を強いられている県民には深刻な問題となる。

 

さらに憂慮されるのは暴力団など反社会的な集団の資金源として利用されかねない点だ。今年に入って県内では、暴力団幹部が賠償の仮払金を受けた男性に対する恐喝未遂や、原発の復旧工事現場への組員らの不法派遣の疑いで摘発された。捜査関係者は「暴力団は第一原発での復旧作業や除染を『金のなる木』とみている」と指摘する。賠償金詐欺事件や借り上げ住宅詐欺事件にも暴力団関係者の影がちらついているという。

 

被災者支援をはじめ原発の復旧作業や除染には多額の国費が直接、間接に投じられている。時間がたつにつれ、費用は膨らんでおり、国民の見る目は厳しくなっている。そうした中、一部の不心得者のために本県全体が白い目で見られれば、支援制度や、さまざまな復旧作業そのものが揺らぎかねない。一連の事件は単なる犯罪にとどまらない。影響は重大ととらえねばなるまい。

 

県警は除染作業などからの暴力団関係者の排除を最重点事項の一つに掲げ、対策に力を入れている。苦しい思いをしている被災者のための制度や事業を暴力団などが食い物にするのを許してはならない。今回の事件も背後関係まで含めた徹底した捜査が求められる。卑劣な犯罪集団の壊滅を図ることは本県の復興を着実に進める上で必要不可欠だ。